10年ほど前であれば、「石の上にも3年」なんて言葉をよく聞いたものですが、最近はあまり聞こえなくなりましたね。
厚生労働省の離職状況調査によれば、大学卒の約3割が3年以内に離職しているということです。
必然的に、会社が社員のキャリアパスを決めることも難しくなりました。辞めてしまう人に、そこまで教育にお金を使える余力のある企業は少ないですからね。
なので、若い社員は積極的にスキルアップの機会を掴みとっていく自立的な姿勢が求められていますね。そのあたりは、昔の「会社は家族と同じ。何かあれば会社が守ってくれる」的な保守的な考えの人には酷な時代なのかもしれません。
個人が会社への依存を弱める時代において、会社と合わないのであれば、すぐ辞めてしまっていいと私は考えます。
いわゆるブラック企業的な要素(長時間労働やパワハラ等)で心の健康を崩している状況であれば、なおさら早めに辞めることを検討した方がいいでしょう。
※今すぐ仕事を辞めたい人は過去記事を参考にしてください。

一方で、どのような状況であれ、短期間で会社を辞めてしまうことに躊躇する人が多いようです。いわゆる短期離職は、次の転職に不利になるのではないか、という不安ですかね。
私自身も以前、ストレスによる体調不良により短い期間で退職したことがあり、似たような感覚を持ったことがあります。
今回は、短期間で仕事を辞めることが転職に不利なのかどうかについてお話しようと思います。
1. 短期離職を語る前に知っておくべきこと
短期離職と言っても、その定義は業界、業種、企業によって様々な捉え方があります。
2週間、1ヶ月、3ヶ月、半年、1年、場合によっては2年でも3年でも短期間での離職と感じる人がいるかもしれませんね。一般的には1年未満での退職を短期離職と呼べるでしょう。
短期間で辞めてしまう事実は、働く側と雇う側の双方にとって悲劇でしかありません。ミスマッチが発生している期間は、本人にとっては色々悩んだりして苦しい時間でしょう。場合によっては、退職した後も本人に心の傷が残ってしまう場合があります。
では、短期離職によるデメリットとは何でしょうか。
「履歴書に短期の職歴が発生することで、次回以降の転職活動において採用担当への印象が悪くなってしまうということ」が一番の関心事でしょう。
実際、どのような原因であれ、短期間で離職した人は「我慢できない人」「仕事ができない人」「職場で上手くやれない人」という印象を持たれてしまうかもしれません。
特に、20代〜30代の方は「ゆとり世代」なんて言われてしまい、そもそも不利なレッテルを貼られている部分があります。
短期離職のデメリットを述べる前にまずお伝えしたい点は、日本は転職しやすい社会になったけれど、まだまだレッテルを貼って人を分別する社会であることを忘れてはいけません。
世代を超えてレッテルを貼りたがる人が日本社会には大勢いることを知っておく必要があります。
2. 短期離職が次の転職に向けたデメリットになるのか
では、本当に短期離職が次回の転職活動に向けたデメリットになるのでしょうか。
私自身、過去に1年も満たずに会社を辞めた事があります。
当時は20代前半で若かったので転職への熟慮が不足していた部分もありますが、反りが合わない上司に毎晩遅くまで叱責され、メンタルを壊す寸前で退職しました。
退職したこと自体に後悔は無かったですし、2週間程度休養した後すぐに再就職活動に入りました。
結論から言えば、再就職活動において短期離職が大きなデメリットになることはありませんでした。
もちろん、採用面接では離職理由について毎回必ず質問を受けました。
「どうしてこのような短期間で辞めてしまったのですか?」
「苦しい状況を打開するために、あなたは何か対策を講じたのですか?」
「うちに入ってもまた同じようにすぐ辞めちゃうのではないですか?」
などなど色々質問されました。
私は短期間で仕事を辞めた理由と、今後のやりたいこと、やりたくないことを正直に話しました。その中で面接官から厳しい指摘が入ったことは一度もありません。
要するに、会社を辞めた理由と新しい会社を志望する理由に首尾一貫性があればいいのです。そこまで理詰めに考える必要はありません。辞めた理由と志望する理由は関連性があるのが自然ですし、自然な関連性を考えてみてください。
また、採用面接では、70%程度の普段の自分を見せるように心がけました。120%の背伸びした状態で採用されても、またミスマッチを起こしてしまうと考えたからです。
結局、いくつかの企業から内定を貰うことができました。(その内で入社した企業で数年お世話になりました。)
3. むしろ、堂々と過去の経歴を語れる自分になろう
おそらく、短期離職をネガティブに捉えるかどうかは、自分自身の問題だと思います。
私自身、転職活動で短期離職をデメリットと感じませんでしたが、この時期一番辛かったのは両親や友人の目でした。
理由はどうあれ、短期間で離職した事実について、親に申し訳ない気持ちが湧いてきましたし、実家暮らしだったこともあり、引きこもりのダメダメ感に耐えられませんでした。
同世代の友人からも、心配の言葉はもらったものの、やはり「我慢が足りないやつ」といった嫌味に聞こえてしまい、自信をなくしたこともありました。そういうネガティブな精神状態だったのかもしれませんね。
今だから言えることですが、1週間で辞めても、1ヶ月で辞めても、それ自体は、特に問題ではないのです。ミスマッチの体験から学び、次の転職で自分に見合う仕事を見つけることが重要なのです。
問題なのは、短期離職をネガティブな過去と捉え、受け入れることが出来ない状態です。自分の過去に向き合わず、心の傷にしたままにしておくと、また同じミスマッチを繰り返してしまうかもしれません。
ですから、例えば、経歴書に短期離職の事実を記載して、自分の失敗を包み隠さず公表していった方が、今後のあなたにとっては良い結果になりますよ。
日本はレッテルを貼る社会である以上、短期間で仕事を辞めることに対しては、今後も一定数の批判は受けるでしょう。
そのような他人の価値観に振り回されず、自分の人生を切り開くきっかけとして、短期離職を前向きに捉えていけばいいと思います。
ではでは〜。
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